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俺の幼なじみ 推しカプ

ผู้เขียน: 空蝉ゆあん
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-05-19 17:21:44

第3話 俺の幼なじみ

目が覚めると涙の跡が染み付いていた。どんな夢を見ればこうなるのかと考えた薫はたかが夢に振り回されているような気がして、切り離すように制服に着替える。トントンと包丁の音が響きながら味噌汁のいい匂いに釣られ、無意識に席へと着く。

「おはよう薫。ご飯出来てるわよ」

「うん、腹減った」

母がこの時間に家にいる事は凄く珍しい。何かあるのかと様子を伺いながら味噌汁に口を付け、ゆっくりと堪能している。

「薫、お願いがあるの」

「……何?」

母からお願いがあるなんて滅多にない事で、内心緊張しているが、気付かれないように無愛想に聞いている。そんな薫の姿を見てふふと微笑みながらある事を伝えた。

2時間後──

薫の横にはベッタリと腕を絡めながら、上目遣いで質問ばかりしている人物がいる。ワンコくんだ。初対面なのに何故だか振り払えない薫は好き放題させている。

「凄い勇者がきたな」

「ああ……あの狭間相手に。すげぇな」

クラスメイトはああでもない、こうでもないと2人の様子を物珍しそうに見ている。薫は居心地の悪さを感じながらも、何故だか懐かしく感じるワンコくんに違和感を感じている。

ジッと見つめている薫に気づいたワンコくんは恥ずかしがる事なく見つめ返してくる。一瞬全てがスローモーションのように動き出したかと思うと、柔らかいものが唇に落とされた。

「──!!」

離れようと体を捩るが凄い力で抱きしめられて離れられない。2人の方に釘付けになっている周囲の言葉なんて入って来ない。それほど2人の空間、世界になっている。

クチュクチュと歯をかき分け舌先が口内を舐め回す、息が出来ないぐらい濃厚で頭がくらくらしてしまった。

流されそうになる。目の前にいるのは何も知らない奴なのに、何故か伊月と重ねている薫がいる。

「んっ……可愛い」

「なに……して」

挨拶がてら唾を付けたようだった。周りに自分のものだと見せつける事が出来たワンコくんは満足そうに舌なめずりすると、怪しく微笑んだ。

「10年経っても僕らは幼なじみでしょ? 忘れちゃったの?」

「……え」

ワンコくんの言葉に無意識に反応してしまった薫は力が抜けていく。どこか似ているとは感じていたが、まさか成長した伊月だとは思わなかったみたいだった。

「い……つ」

名前を呼ぼうと口を塞がれ、続きが言えなくなった薫はモゴモゴと声にならない声で伝えようとする。

「今は夏樹だよ。だから静かにしてくれると嬉しいんだけど」

コクンと頷くとゆるふわな笑顔で薫の頭を撫でようとした。やる事なす事が可愛すぎる伊月を抱きしめたい衝動を抑えると、急いでその場を離れた。

教室から離れていく2人をみて黄色い声が響いていた。

第4話 推しカプ

バタバタと階段を駆け上るとあっという間に屋上に着いた。普段なら誰かしらいるはずなのに、誰もいない。ここは力をあり余らしている奴らがたむろする場所でもあった。

「誰もいないなんて、珍しいな」

「邪魔されたくないからねっ」

まるで初めからここには誰もいない事を知っているような口ぶりに疑問を覚えたが、伊月の視線に気づくとどうでもよくなっていく。数日前伊月で抜いた自分に恥ずかしさを覚えながら、ポリポリと頭を搔く。

「その癖、昔と変わらないね」

「ああ、そうか?」

大好きな伊月が目の前にいるからなんて言える訳がない。離れてから伊月を想いながら今日まで耐えてきたのだから、表情が緩むのも仕方ないのかもしれない。

「挨拶はここまでにして、本題に入ろうかな」

そう言うと伊月が伊月でなくなるような感覚を覚えた。今までふんわりしていた空間が澱んでいく。

「僕は伊月だけど今は夏樹と呼んでほしいんだ。弟の代わりに、学園に編入してきたから」

「弟いたか?」

「まあ事情があってね。自分だけで処理出来る話じゃないんだ。だからここでは夏樹として学園生活を続けていく必要があるんだよね」

「……複雑なんだな」

「まぁね」

それ以上聞く事が出来なかった薫は引っかかりを感じたが、こうやって自分の元に戻ってくれた事が嬉しくて堪らない。だから今は余計な事を考えずに嬉しさを噛み締める事にした。

「これからもよろしくね、薫」

「こちらこそ」

こうやって騒がしい日常へと変化していった。ただあのキスの意味を聞けないまま、幼なじみとしてでも傍にいられるのならと自分に言い聞かせた。

□■□■□■□■

休み時間になる度に、薫の教室に通いつめる伊月。彼に興味を抱く生徒は多い、愛想がよくて可愛いと評判になっているらしく、ファンクラブまで出来たみたいだ。最初は薫との関係に嫉妬心を感じていた周囲は伊月の計らいで秘蔵写真を見せると、薫へのイメージが変わったようで今では2人を推している女子が多い。

「夏樹って可愛いよな。俺、抱けるわ」

「何言ってんだよ石垣。お前最近変じゃね?」

「……うるせぇな」

伊月の存在は3年生まで話がいっているようでその中心にいた石垣は人が変わったように、伊月の隠し撮り写真を撮りまくっているようで、伊月は頭を抱える振りをした。

「悩んだふりするな」

「僕モテるからつらいよねぇ。薫しか興味ないのに」

サラッとそういう発言が出てくるたび、どこまで人たらしなのかと薫の方が頭を抱えているが、本人は何も気にしてないのが、また余計守りたくなる。

今までの時間を取り戻すように、何年もの溝を埋めながらお互いの温もりを感じて、離れないように力を込めて抱きしめた。

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